投資家の「スター誕生」?

ForbesにThe Oracle of Manitoba(マニトバの賢人)という記事が、カナダのマニトバに住む、ほとんど無名の投資家だがこの8年間、年率36.4%のリターンを達成し、Lipper社統計の1,555ある信託ファンドのすべてを成績をあげたRandolph McDuff氏をとりあげていた。Oracle of Manitobaとはもちろん、Oracle of Omahaと呼ばれるWarren Buffett氏のもじりだが、8年間の業績をみて、何十年にもわたって長期投資でリターンを上げ君臨するBuffett氏と比較するのは無理がある。しかしそれよりも、こういったほとんど無名の投資家の業績を「同じ土俵で」評価し、「スター誕生」(あ、古いですね...今でいえばアメリカン・アイドルかな...)並に、ストック・ピッカーとしてのスターを発見し、そういったスターの投資を見習う利益を個人投資家に与えようとするシステムが広がってきていること。

McDuff氏がForbes誌に「発見」されたのは彼の投資をシミュレーションしているMarketocracy.comだが、このサイト上で投資を公開しているユーザー70,000名の中で彼が1位だったというわけ。本当のファンド・マネージャーではなくシミュレーションなのだが、値上がりした株だけを取り上げて自慢する、などといういい加減なことではなく選んだポートフォリオは利益も損失も、しっかり記録され、本職のファンドマネージャーと同じ基準でリターンが計算されている仕組み。2000年にはじまったMarketocracyはこの分野の老舗になるが、最近では人気のある大手の株式投資サイト運営の「株式スター誕生」(Motley FoolのCaps、TheStreet.comのStockpickrなど)に加えCake Financialなどのベンチャーもこの分野に出てきている。オンライン取引の開始・手数料の低下で株取引は個人投資家にぐっと身近なものとなったけど、システムだけ提供されても実際の銘柄選びのテクニックは依然として分からない、という問題への、Web2.0の回答がこういったサービスなのかもしれない。

Marketocracy上のMcDuff氏のポートフォリオの業績(オレンジ線。緑がS&P500)