Respect

昨年しばらく、サンフランシスコの某法律事務所で契約の仕事をしていたのですが、あるとき若手弁護士であるボスに、ITや補助(サポート業務)のスタッフが、私が頼むことはほとんどすべて、優先してやってくれる。頼まないのに、「奥の手」ワザを教えてくれるとか、をわざわざ時間をかけて「これも役立つかもしれないよ。」と、作ってくれることもある。なぜチャコにだけ親切にするのだろうか・・・と、聞かれたことがあります。

ボス「どうして、チャコさんが頼むと機嫌よく、優先してやってくれるの?」
私「やってくれたときはちゃんとお礼を言っているからかな?」
ボス「私だって、いつもいつもお礼を言ってるよ。それでも、頼むとぶーたれられることが多いよ」
私「…?」

それを今にして「ああこれかな」と、思うことがある。多分私には他のプロフェッショナルより、自分の補助をしてくれるメンバーへの"Respect" が、あるのかもしれない、と。

雇用機会均等前に社会人になり、最初の1年半をいわゆる「お茶くみ」を含む一般職、つまりサポート業務で過ごした私には、サポートする立場から見る癖が、他の人よりついているのかもしれない。それに加えて、無駄手間、無駄な仕事をするのが本当に嫌い。例えば二度手間になる可能性が強いと分かっていることをやるのは大嫌い。であれば、自分をサポートするスタッフにとっても、能率が悪い頼み方をされるのはさぞ、いやだろうと思う。だから、同じ仕事を頼むのでも、サポートのスタッフがより、処理しやすいフォーマットや指示方法で出すとか、そういうことは結構考えている。それがひょっとして、「ありがとう」というのとは別の、受け入れられやすさに結びついているのかもしれません。

ところでこの際のRespectですが、日本語訳を見てもしっくり来ない単語の一つ、と思いません?

辞書には敬意、尊敬、尊重、重視、なんて訳があるけどどれもちょっと、うーん、ぴんとこない。

一人一人の個人の権利に対する認識、って言うようなのが一番しっくりくるかな。例えば自分の秘書に対しても、ぎりぎりまで待ってから仕事を渡したんじゃ、やりにくいだろうな、と考えるような。

あーそれにしても翻訳者さんって大変ですね。これいちいち、上記のような長い説明にしてたら翻訳本がみんな、10倍の長さになってしまうもんね。