スピードリーディング・フォトリーディング: 読まない選択

遅まきながら、ジャパンタウンの本屋で勝間和代さんの本を手にして(最初は、

)、極めて早く読める割に面白いテーマがいくつも残るので、続けても買ってしまった。

その中で目を引かれたのが[フォトリーディング」。これも、勝間さんがブログに書いているのは2004年なので、日本でもセミナーに参加した人も、トレーニングを重ねた人もたくさんいると思うので「何をいまさら」かもしれないけど、学生時代からスピードリーディングの技術などあると目を引かれ、渡米してからは英語を読む速度をあげようとあれこれ試した私にとっては興味を惹かれる話題。

原書は「あなたもいままでの10倍速く本が読める」という翻訳書。勝間さんのブログの言葉を借りると、

私なりの解釈によりフォトリーディングとは、「これまでの文字処理のみによる遅い脳の使い方から、画像処理の速い脳の使い方を併用することで、飛躍的に情報処理能力を高める技術」です。マインドマップなどと同じ、加速学習方法の一つです。

ということらしい。

ちょっと面白いのはこの翻訳本の「あなたもいままでの10倍速く本が読める」はAmazon Japanで星4つ(5つで満点)とかなり評価が高いのですが、原書のPhoto Readingは平均星3つで、しかも評価が5と1に大きく偏っており、低い評価の方は「まやかしだ」という意見が多い。

勝間さんも本を読んだだけでセミナー参加前の段階では、

正直 ・・・ これは自己啓発系の新たな商売、具体的には行くと「信じるものは救われる」的なセミナーだったり、あるいは高い教材を売りつけられたり、中身が薄っぺらいのにネットワークビジネスアフィリエイトがあるから高かったり、そんなのではないかと想像していたわけです。

… もう、本を読むとはっきりいって、催眠術か暗示術かと思いました。

とにかく、本がやや「魔法の方法」みたいでおおげさだったのです。

というわけで本をよんだ段階では「まやかしの一種」ではないかと思っていた勝間さんだが、セミナーに参加した後でそんな自己暗示や魔術の類ではなく、単なる「読むテクニック」のひとつだと分かった、といっている。その中でも、「言われてみればなあんだ」なのだが意外となるほど、なのが、

予習−本をぱらぱらーーーとながめて、興味あるキーワードや、本当にこの本を読みたいのか、探してみる。

この段階は通常、書店で本を買うかどうか判断する際にやっている行動ですが、Amazonなどのウェブ書店で、他人の評価が極めていいからすぐ購入してしまった、という本に、結構これを抜かしている場合が多い。

…いい本であっても、それが今の自分のニーズにマッチしない場合も多い(必要としていない知識の場合、または難しすぎる、やさしすぎる、など)。

それを「読まない」という選択・判断を早めにすることも重要ではないだろうか。そして、せっかく買った本でも、ぱらぱら目次やキーワードだけ見て3分の1くらいだけが自分の欲しい情報だと思った場合、そこだけ読んであとは捨てる、という選択も必要なのですね(もちろんビジネスや技術書など、情報をとる為の読書の場合。推理小説とか娯楽モノはもちろん別ね)。

ここまで読んで、せっかく図書館で貴重な日本語の本を借りて読み始めた「平成維新」を、やめた。大前氏の本はほとんど、その視点・ロジックにはっとさせられることが多いですし、この本も名著だったのだろうと思います。ただ、90年代初めの時点で書かれた政治改革の視点が、今読んでみてどうしても、興味の出てくるものではないのです。で、読む時間のほうがもったいないのでやめ。

しかし…英文のスピードリーディングは依然として頭の痛い課題です。在米20年を超えたいまでも、日本語の本の数倍はかかるのだが、特に英語圏に暮らして、日本語の本が手に入りにくい状況だと、英文の情報摂取が早くならないと情報の全体のインプットがどうしても、減ってしまうのですね。おそらく英文スピードリーディングの正統派と思われるEvelyn Woodのトレーニングなんかは試してみたのだが、これはまたおいおい、紹介して行きますね。