オンライン取引考

いまさらになってオンライン取引が「金融イノベーション」でもないだろうが...と、お叱りを受けるかもしれませんが...

ケープコッドでの休暇中に日本の友人から私の投資ブログに関連したメールが入っていて、その中に、「営業マン(ウーマンかもしれませんが)が自社の投資信託商品ばかり薦めてきて、自分の好きなものが買えない」というのがあった。それに関連して10年を過ぎたオンライン取引のことを考えた次第です。

私は昔証券会社にいたくせに(というか、いたから、ですが)、営業マンと付き合ったことが実はなくって、20年前に最初に投資を始めた当初からFidelityのタッチトーン・電話式のトレードをしてました。別に人と付き合うのが一切苦手なオタクなわけではないけれど、証券会社内部にいるとどうしても、「この株を客に買わせた」式の営業マン・トークに接する機会も多く、もちろんそうじゃなく良心的な営業マンもいるのだろうが、自分で投資を始めた際にどうしても、営業と直接に接する気になれなかった。しかしタッチトーン取引は実に使いにくくって(株の注文も何も電話の10個のボタンですべてやるわけだから面倒っちい)、何か一つ間違えると最初からやり直し。注文の株数を一桁間違えたことも。だから、1996年にカリフォルニアに移りSchwab、eTradeなどのオンライン取引を見たときは「やった!」という目からウロコが落ちる感じだった。

その後10年余りたった今、投資・株取引に関しては様々なイノベーション(モバイル取引、ECN、ETF等など)が出てきていますが、オンライン取引に匹敵する革新的なものを出すのに、業界の各社は苦労している感じがします。一方、個人投資家の方からすると、すべて自分で判断・取引できる一方、その判断材料は情報の氾濫の中で、何を基準に判断すればいいかわからない、というところではないだろうか。株式投資はもちろん、何を基準に判断しても勝ちも負けもあるわけで、それを技術ですべて「勝ち」にすることはありえないけれど、この「判断材料」が投資ベンチャー業界の一つの台風の目になっている気がする。4月末にサンフランシスコで行われたFinovateという金融ベンチャーの会議でも、MotleyFoolCAPS、Invesraなど数社がこのカテゴリーに入っていた。