景気浮揚策チェック (Stimulus Check)

ブッシュ大統領の景気刺激策で、浮揚策としてのチェック(小切手、Stimulus Check)を配り始めてからもう2ヶ月たったはず。夫婦で1,200ドル、子供一人につき300ドルだそうですが、これでほんとに不況回避、景気回復に役立つんだろうか。大きい意味での影響はマクロの話なんで、もっと時間がたってから出ないと本当に景気浮揚に役立ったかどうかの結果は出ないのでしょうが、今までの経済記事を見ていると大多数は悲観的。住宅ローンの支払いにひーこらし、ガソリンの値段(この浮揚策が発表された今年1月には1バレル90ドルだったが今は140ドルを突破)にあえぐ庶民は、一時的な小切手をもらても消費するどころじゃなく、家計の赤字補填をするだけで精一杯、また景気の不安感の中で、貯金に回すケースも多い、というもの(Motley Foolの「ガソリンが浮揚策チェックを食っちゃう!」という記事もあります)。また、赤字補填にしてもほんとに困ってる人は「焼け石に水」なんじゃないかな。1,200ドルという金額、もちろんはした金とは言いませんが、でもこの近辺の住宅値段で考えると、40万ドルの住宅ローンがあれば(最近のSF近辺の住宅価格は平均65万ドルなので、ローンはもっと多い家庭もたくさんあるはず)月々のローン支払いは2,500ドルを超えるので、刺激チェックは半月分のローン返済にも満たない。こうやって今月分の支払いに多少、援助が出たところで来月はどーしろっていうのよ!という家庭も多いだろう。

一方、チェックが景気全体への浮揚効果があるかどうかはともかく、一部の小売店などの一時的な売れ行きには貢献しそうです。先日、旦那が3歳の娘をつれてウォルマートへいったのだが、ちょうど5月のチェック送付開始のすぐ後で大変な混みようだったとのこと。特にウォルマートは価格が安く、しかもチェックの現金化の無料サービス(チェックによる支払いが未だ主流の米国では、そのチェックを預け入れる銀行口座を開けない低所得・移民層にはどうやって現金化するかが大変な問題。これをする業者もいるのだが高利貸し並みかそれ以上の手数料を取られる)があり、そこで現金化したお金を、安いのにつられてすぐ使ってしまう・・・という構図で、とにかくウォルマートさん、お財布を開かせるのはとってもうまいのである。

ところでこの刺激策は本当に米国経済へ貢献するのか?まじめな分析は経済学者にまかせるとして、Marc Fabor先生のニュースレターからの抜粋:「景気浮揚チェックをウォルマートで使えばお金は中国へ行くだけ。ガソリンを買えばアラブが潤うだけ。野菜・果物の生産元はメキシコかホンジュラス、高級車はドイツ。もっと安物は台湾から来ている。いずれにしても米国経済には貢献しない。米国経済に役立つ消費の仕方は娼婦とビールだけ、なぜならこれらがまだ唯一、米国産だからだ。私は実践して貢献している、諸君も大いに協力するように!」(Eliot Spitzerのコメント。彼は元、凄腕の州最高法務官・ニューヨーク知事だったが高級娼婦クラブとの関係の暴露記事のあと辞任。)