太陽光発電の話題

右は「Solar Industry」という太陽光発電関連の業界誌の4月号の表紙である。アナログ人間の筆者は、電子マガジンより、こういう「紙」の雑誌の方がはるかに落ち着く。毎月タダで送ってくれる。全部で62ページで、半分以上広告なのだが、広告や記事を拾い読みすると、最新情報が分かってなかなか面白い。
4月号の表紙の記事は、
(1) How Solar Inverter Can Help Utility Friendly Solar Installation
(2) Better? Faster? New Mounting Products Abound
の2件。
最初の記事の要約は、

  1. 2010年には1ギガワット程度のPVによる電力がGrid(電力網)に新規に接続された(他の統計よりもかなり少ない様な....)
  2. これは、前年(2009年)の約2倍にあたり、今後どんどん増えて行くであろう
  3. 数百メガワットの大型PV発電所よりも、数十メガワット規模のDistributed Solar Power Planが増えているが、これらが今後の安定供給に寄与すると同時に、Gridの不安定要因になりうる
  4. 今後これらの中規模の発電所を、電力会社が如何にコントロールするかが非常に大事になって来る
  5. 現在の電力網は双方向性を考えて作られていない
  6. また太陽光発電パネルそのものにはIntelligenceがないので、Inverterがその役割を担わなければいけない(Inverterとは直流電力を交流電力に変換し、かつGridに繋げるための各種の制御を行う装置)
  7. Gridへの接続には、現在「IEEE-1574」と「UL-1742」という標準化規則があり、Gridに繋がる全てのInverterはこれを守らなければいけないが、この規則は現在の様な数多くのDistributed Solar Power PlanがGridに繋がる事を想定しておらず、不安定要素になって来ている
  8. 連邦政府はこれに対処する為に、DOE(Department of Energy)が中心になって、「Solar Energy Grid Integration System(SEGIS)」というプロジェクトを作った(2008年)
  9. SEGISは2015年を目処にグリッドと発電所と(もっと細かく言うとInverterと)の双方向の通信/制御システムを軌道に乗せる予定

もっと色々書いてあるが要約はこんな感じです。SEGISに関しては、NEDOこの記事が面白い。
2番目の記事の要約は、

  1. 太陽光パネルの設置作業とそれに要する部材が大きなビジネスになって来ており、参入する企業が増えて来た
  2. 太陽光発電パネル設置の総経費の25%は設置用のラックやパーツや配線やそのための人件費やらで占められている(パネルの値段はどんどん下がっているが、この部分はあまり減らない)
  3. 住居の傾いた屋根に設置するにしろ、オフィスビルや駐車場のフラットな屋上に載せるにしろ、色々な設置方式があり、パーツも実にバラバラである
  4. 設置業者は、少しでもパーツの種類や在庫を減らし、少ない人数で、かつ確実に設置しなければならない
  5. 雨漏りが起こると、たとえそれがエアコンのせいであろうが、もともとの屋根のせいであろうが、太陽光パネルを設置した業者が非難される
  6. 太陽光パネルを載せると、屋根のWarranty(保証期間)が無くなるケースが多い

とかです。
なお、筆者は家の廻りをよく散歩するが、100軒近くのご近所で太陽光パネルを設置しているのはわずか3軒です。まあ、アメリカの場合、一つの家に20年も住むケースの方が少ないので、仕方ないかな?「終の住処」とか言う考え方はあまり無く、ライフスタイルに合わせて転居するので。
by 阪口