水処理関連のセミナー

8月5日に水処理関連のセミナーに行って来ました。
"The Water Crisis: An Update on the Challenges in Water Efficiency and Treatment”
セミナーというよりはパネルディスカッションで、4人のパネラーが、参加者の質問に順に答えて行くという形式でした。
タイトルだけはカッコいいのですが、盛り上がらない事おびただしかったです。
パネラーは、VCが2人、自治体(Santa Cruz)の水管理の責任者(Director)が1人、水管理会社の社長でインキュベーションもやっている人が1人という構成。
お金を払ってセミナーに来ている参加者(約60名)は、当然「どうやって水処理をビジネス(お金)に結びつけるか」が最大の関心事で、起業家(アントレプレナー)もかなり来ていました。
しかし、VCがネガティブな発言を連発。曰く、

  • 水関連のベンチャー企業のExitはかなり難しい
  • IPOは限りなく無い
  • 時間がかかる
  • 5% of Growth Marketには興味が無い
  • このため、水セクターにはほとんど出資しない(絶対しないとは言わないが)

サンタクルーズの水処理の責任者曰く、

  • サンタクルーズはカリフォルニアとは違う(笑いが起こっていました)
  • 我々は過去に膨大な投資をしてうまくいっている(350M Miles of pipeline installed)
  • 「水はタダ、Free Public Goods、Water is part of Earth」という考えが根強い
  • 地域により、州により、国により事情は全く違うので一概には言えない。Localな話になるので、Globalな話(国政レベルの議論)にならない
  • 結局Supplierは1ヶ所になるので、普通のインダストリーの様な競争は起こりにくい
  • アメリカでは水道代はFlat Rateのところが多く、どれだけ水を無駄にしているか分からない
  • サンタクルーズでは、新規の住宅にはメーターをつけなければいけないが、古い住宅にはメーターが無い所が多い
  • 住民は、Decreasing Powerには興味があるが、Decreasing Waterには興味が無い

改めて、難しさを痛感しました。時間がかかるからこそ、ある程度の継続的な資金が必要であり、それなりのリターン(Exit)があるからこそ、アントレプレナーも頑張るのですがねぇ。

オバマ大統領の「Green New Deal」にも、「Water」はあまり大きな問題として取り上げられていませんね。雇用改善にもあまり役に立たないし。

セミナーで示されたアメリカに於ける水需要の分布は下記の通りです。

  • Thermo, Electric, Power : 48%
  • Irrigation : 34%
  • Municipal, Drinking : 11%
  • Industrial, Commercial : 6%
  • Others : 2%
    • Thermo, Electric, Powerが非常に多いのにびっくりです

全世界では

  • Agriculture : 70%
  • Industrial : 20%
  • Residential : 10%

これが、先進国だけでは

  • Agriculture : 46%
  • Industrial : 42%
  • Residential : 13%

発展途上国では、

  • Agriculture : 81%
  • Industrial : 11%
  • Residential : 8%
    • やはり食べていくのが最優先なので、農業用の水需要が圧倒的に多いです

ということです。

先進国と言っても、アメリカとヨーロッパ諸国と日本では全く異なるし、発展途上国と言っても、雨の多い東南アジアと雨の降らない中近東/アフリカでは全く異なりますが、傾向としては分かり易いです。

しかし、なかなか考えさせられるデータではあります。

by 阪口