新興国投資(その2) エキスパート・ネットワーク

昨日のエントリーでかいたDavid Riedel氏の新興国市場リサーチ会社、Riedel Researchではまた、新規事業として2ヶ月ほど前から、Riedel Global Expertsというのを始めたそうです。
http://www.riedelglobalexperts.com

これは米国などでここ2、3年(ひそかに?)注目されている「エキスパート・ネットワーク」という投資リサーチのビジネスモデルの、新興国版で、「エキスパート」をやはり、新興市場の現地アナリストのネットワークを使って発掘しようというもの。カバーしている市場はアジアでは中国・インド・インドネシア・マレーシア・タイ。中南米は、アルゼンチン・ブラジル・チリ・メキシコ・ペルー、そして欧州・中近東ではアラブ首長国チェコハンガリーポーランドルーマニア・ロシア・南アフリカ・トルコと、なかなか幅が広い。

ところでエキスパート・ネットワーク(Expert Network)というのはWikipediaによると「大まかに言えばあらゆる種類のプロフェッショナル・リサーチの情報を提供してくれる人材のネットワークのこと」と定義されている。

An Expert Network can be loosely defined as a network of people used to conduct any sort of professional research. Information providers within expert networks can be anyone from doctors to academics to any type of working or retired professional. Researchers can be anyone from investors to marketers to product manufacturers. Researchers derive value from the information they gather by connecting directly with primary information sources and industry experts.

投資業界に絞って言えば、他人が知らない質の良い情報を入手すれば投資判断には有利なので、会社発表の業績データなどは無論参考になるけれど、それだけでは他人も同じ情報を持っているわけで、その先、または一歩奥の深い情報をプロの投資家は入手しようとする。そこで有効になるのは「その道のプロ」とのコンタクト。例えば製薬業界で言えば、会社発表の短信などには今まで(しかも1ヶ月以上遅れ)の業績情報と、開発中の製品の(これまた少し時間遅れの)情報がのっているが、そういった製品を使う側の医師や薬剤師、バイオの研究者、などの専門家と話しをすることにより、現在、及び今後開発予定の製品の競争力などが推測できる、というもの。かなり地道なファンダメンタルリサーチだが、他の投資家が持たない情報を入手でき、しかもインサイダー情報にはあたらない、というところから最近、耳にすることが多い。ここでいうエキスパートはだから、その業界の識者であって、金融・投資のエキスパートではない。

米国や先進国に比べ新興国市場の投資情報は会社や政府による公開発表だけでも限られているので、投資判断により多くの、しかも現地の専門家からの情報を収集できるGlobal Expert Networkは使い方によっては非常に価値のあるものになるのでは、という気がします(でも実際のインタビューは通訳を入れるなど、結構大変だそうですが。)

日本でもこのビジネスモデル、導入されているのでしょうか。こういったことについて意見交換させていただける方、歓迎です。