Tessera社のスターリングエンジンを用いた太陽熱発電
Tessera社の2つの太陽熱発電施設にゴーが出たが、内容を簡単に説明します。一般の太陽熱発電は、タワー式かトラフ式が多いですが、ここはスターリングエンジンを使います。
まずは、右の一見スターウオーズの様な写真をご覧下さい。動作原理は
- 巨大なパラボラレンズ(直径40フィート=12メートル)から集められた太陽熱を、その前に設置されたSunCatcherに集める。
- SunCatcherには"power conversion unit (PCU)"と呼ばれる装置が入っており、そのなかのチューブの中の水素ガスを高温に熱する。
- そのガスは熱交換器を通して、4シリンダーのスターリングエンジンに導かれ、発電が行われる。
スターリングエンジンは、1816年にスコットランドのスターリング牧師が発明した原理で、カルノーサイクルに限りなく近い効率で熱エネルギーを運動エネルギーに変換することができる。
1個のSunCatcherで25キロワットの発電が出来るそうです。スターリングエンジンは、何年も前から「夢の発電装置」と言われ続けた。私も大学の熱力学の授業で勉強して以来、色々なニュースで見聞きするたびにわくわくして来ました。本当に感無量です。
プロジェクトの個別の情報は下記の通りです。
- プロジェクト名
- Imperial Valley Solar
- 開発者
- Tessera Solar
- 発電装置製造
- Stirling Energy System
- 発電能力
- 709 MW-ac
- 面積
- 6,360 acres = 25.8 平方km
- 電力を買い取る電力会社
- SDG&E (San Diego Gas & Electronics)
- 推定開発コスト
- $910Mドル (最初の300Mワット)
- $3.03/W-ac(この記事のIvanpahの$4.08/W-acに比べて安い)
- 年間発電率(Capacity Factor)
- 25%
- 発電効率(Solar-to-Electricity efficiency)
- 23%
- 年間発電量
- 648 GWh/年(最初の300Mワット)
- 300 x 24 x 365 x 25% = 657 GWh
ということです。こういう新しい技術に果敢にチャレンジするのは流石アメリカです。
なお、これらの写真は既に設置され運用されている1.5Mワットのパイロットプラントのものです。
by 阪口